感想-映画[花束みたいな恋をした]坂元裕二脚本/土井裕泰監督 傑作すぎる 

「坂元裕二」脚本/土井裕泰監督 絶対観ようと思いました。心に残るセリフ名言/映像・演出であふれています。

ネタバレを含んでいるので、まだ鑑賞していない方や知りたくない方は読まないでください

目次

映画[花束みたいな恋をした] 2021年公開 124分

普段はあまり恋愛映画は観ません。好きになった。嫌いになった。別れた・・・・よりも人生・社会・謎・事件・未来・生き方のような映画が好きだからです。しかし、脚本家の坂元裕二さんの作品は恋愛ものにもかかわらず特別です。作品を何度観てもその都度感動や見る角度が変わってくる、と同時にずっと余韻を引きずります。その魅力は、ほかの投稿でも書こうと思っています。

https://twitter.com/i/status/1391589056916594688

人生は不可逆

こ坂元裕二さん脚本のドラマを観ると、いつも人生は不可逆だということを思い知らされます。

不可逆・・・ある状態に変化した事物が、再び元の状態に戻ることができないこと。取り返しがつかないこと。

昨日と今日はあまり違わない けれど

今日が100とします。100のうち99は同じだけれど、1違うことがある。1違う出来事や変化があるとします。

次の日も一つ違ってくる・・・

101%×101%=102.01%

2日目は102%になるわけです。

次の日は102.01%×101%・・・という計算で、365日・1年をすると「101%の365乗」

3780%

少しずつの違いが、1年でこんなに違うのです。

5年付き合うということは、最初に出会ったときから考えると、すごい乖離が生じます。

イヤホンのLとRは

同じ曲を同じイヤホンのLとRで聴く。一見微笑ましいですけれど、LとRでは同じ音楽を聴いているようで、実はLで聞いている彼と、Rで聞いている彼女とでは別の音を聞いている。その様子を恋愛と紐づけて表現しています。

価値観が一緒すぎる奇跡のような出会い

偶然出会い、話をしていく中で、次から次へとお互いの好きなことが一緒で、価値観も似ていることに気づきます。

話をすればするほど、好きな本やカルチャーが一緒で盛り上がっていきます。まるで二人だけの“世界”を築いていく様を、丁寧に観客に観せるような演出になっています。{じゃんけんでパーがグーに勝てるのはおかしい}と思っていたことも一緒だった偶然。
麦(菅田将暉)と絹(有村架純)が互いに惹かれ合ったことが、自然で必然であったことに、納得させられます。

出会った最初の頃が恋愛のピークになってしまったのかもしれない

恋愛の最初がとても盛り上がるというケースは、確かに多いです。しかし、この2人の最初は奇跡的なぐらい

ピッタリ過ぎて最初が天井だったのかもしれません。付き合い始めてからの2人は、毎日が楽しくて仕方がないというくらい

一緒にいろいろな体験をします。学生だったからということもありますが、一緒にいる時間も長く取れましたしね。

カラオケので二人で歌った曲 きのこ帝国 

クロノスタシス・・・すごくいい歌ですね。金木犀の夜は知っていましたが、この映画を観て知りました。

クロノスタシス 一度、聴いてみてください。

二人の価値観が違い始めた

大学を卒業したらどうするか

最初に 絹(有村架純) が就職活動を始めます。

なかなか思うような結果が得られません。それに対して 麦(菅田将暉)「やりたくないことなんかしなくていいよ」

という。結局2人はフリーターのまま同棲生活に入ります。

絹(有村架純)麦(菅田将暉)も就職するようになる

まず、 絹(有村架純)が簿記の資格を取って一足先に歯科医院へ就職した。それを追って、麦も就活を始める。

イラストで食べていきたいと夢を見ていた麦が就職し、このあたりから2人の価値観が同じようで実は違っていた、

ということに気が付くのです。

夢を見ていた 麦(菅田将暉)が現実を生き始め

ずっと一緒に二人でいたいから。安定した仕事をすることが、 絹(有村架純)とこの先の結婚のためと思い仕事に邁進していきます。しかし、皮肉にも絹は、そんな麦に対してどんどん気持ちが冷めていきます。この辺りから二人のすれ違いが

大きくなります。

考え方が違うと印象づけること

  • 現実の世界で生きていこうとする麦・収入が減っても好きな仕事に転職しようとする絹
  • 就職後の麦は、本屋さんで手に取る本が、ビジネス書になってしまった。
  • 麦は、ほかの女性とは親密にはならない。
  • 絹については、はっきりとは表現していませんが、オダギリジョーかほかの誰かとハンバーグ店に行った。

ささったセリフ

  • 好きで一緒にいるのになんでお金ばっかりになるんだろう
  • またハードルを下げるの?
  • 始まりは終わりの始まり。
  • 女の子に花の名前を教わると、男の子はその花を見る度に一生そのことを思い出しちゃうんだって
  • 好きがどうかは、会っていない時に考えてる時間の長さで決まる
  • 始まらなければ終わることもない
  • 3回ご飯食べて告白しなかったら、ただの友達になってしまうよって説あるし

二人で楽しんでいるシーンがない 

麦(菅田将暉 ) 絹(有村架純)
イラストラーメンブログを作るほどのラーメン好き
ガスタンクミイラ展

絹が麦に「イラストが好き」と言った後、イラストに関して二人の会話はありません。

彼が、イラストで身を立てようとしているのにも関わらずです。
ガスタンクの映画⇒一番面白いシーンの前、絹は途中で眠ってしまう。
ラーメン⇒『好きな言葉は替え玉無料』という絹の言葉にも無反応の麦。麦と付き合っている間一緒に食べている描写なし
ミイラ⇒楽しかったと言いつつもファミレス店員が現れた途端ミイラの資料を隠す麦。のちに「実は引いていた」と明言

告白のシーンでも麦はスマホの画面越しに絹を、絹は直接麦を見ています。
他にも、麦は米を食べているシーンが多く、絹はパンを食べているシーンが多かったり。
同じに見えて実は違う=本質を理解しあえていないことが随所に表現されていたのですね。

決定的な違い

愛情がなくても結婚生活を続けている夫婦・たくさんいる

これに対して

絹『もう気持ちがないのに一緒にいられない』

同じ坂元裕二脚本ドラマ[カルテット]の中で

愛してる 愛してるよ でも 好きじゃない とのセリフ

を思い出しました。愛情はあっても好きじゃないから一緒にいられない。

一緒にいるのが窮屈に感じて離れることを選ぶのです。

ちょっと疑問 

映画の最初の方
麦(菅田将暉 ) が2020年 元カノとカフェで。

昨日の夜、麦くんの家にピアス忘れてなかった?

あ、見てないかも

ラストの2分くらいのシーン

2020年カフェでの出来事の後の自宅で

今日、元カノにバッタリ会った

映画の最初の方
絹(有村架純) が2020年 元カレとカフェで。

うちの親 絹ちゃんに会わせろってうるさくってさ

ラストの2分くらいのシーン

今日、元カレにバッタリ会った

冒頭でのカフェでのシーンの元カノ元カレのセリフそれぞれ付き合っていると観客に思わせるためのセリフだったのでしょうか?付き合っていると思わせるセリフがあるのに、バッタリ会ったという設定なのでちょっと混乱しました。

もう絹も麦も、あっさりと元カノ元カレという言い方になっていたのですね。

Hulu

まとめ   

ずっと余韻が残ります。

作品は薄っぺらくなく重厚で、さすが!と思わざるを得ません。

もちろん役者さんの力もすごいです。菅田将暉 有村架純 リアリティーのある自然体で素晴らしいです。

プロダクションやスポンサーの力で横やりを入れるようなキャストも感じられません。

この映画はいろいろな意味・対比が隠されていています。

じっくり味わいたいものですね。

ランキングへ応援クリックをいただけると嬉しいです!

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次